今月を視る (「むすぶ」2022年4・5月合併号より)2022/04/26 13:13

外交と対話による即時無条件停戦を!
国際法、国際人道法の遵守に基づく平和的解決を!

「武力、武器で住民は守れない」
ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻から早くも2か月。停戦は進まず、戦火が衰える気配はない。プーチン政権によるこの侵略戦争は、勃発と同時に多くの住民犠牲が発生した。ウクライナ東部マリウポリでは、ロシア軍が地域を包囲、「制圧」を宣言する一方、ウクライナ政府は「徹底抗戦」を表明している。こんな中、ロシア軍が包囲し、最後の攻撃準備を整えているという「アゾフスターリー製鉄所」に極右の流れをくむ準軍事組織「アゾフ大隊」が立てこもり、地下には子供、老人を含む1000人の市民が避難しているという異様な光景が写し出されている。これはいつかの光景と重なっている。沖縄戦でガマに日本軍と住民が混在していたあの光景と同じだ。4月8日にはウクライナ・クラマトラスク駅にミサイルが撃ち込まれ、駅にいた多くの市民が犠牲になった。『この報道からすぐに思い出したのは、1945年8月14日、国鉄(現在のJR)京橋駅に1トン爆弾が落ちたことだった。この2つの事件の共通点は「そのとき、駅には乗客がいっぱいた」ということである』(ノンフィクションライター島本慈子さん)。第2次世界大戦中にとどまらず、その後の「朝鮮戦争」、「ベトナム戦争」、「アフガニスタン戦争」「イラク戦争」、その他多くの武力紛争で世界が目の当たりにしてきた現実であり、繰り返してはならない体験だ。「戦争は甚大な住民犠牲を生む」「武力、武器で住民は守れない」。この歴史の真実にまっすぐ向き合うことが必要だ。

即時無条件停戦を!
これ以上の住民犠牲は止めなければならない。今、必要なことは「逃げださずに武器を持ってロシア軍に立ち向かうウクライナ人の勇気」に賛辞を贈ることや「武器提供」ではない。ましてや「ウクライナとともに血を流す覚悟」、つまり武力介入や参戦を自国政府に要求することなどではない。こんなことを続ければ住民犠牲は増大するだけだ。米国の侵略戦争に対し住民の命より権力の維持を優先する権力者(フセインやタリバン)の「徹底抗戦」によって膨大な市民の命と生活が奪われたことを忘れてはならない。これ以上の住民犠牲を止めるためには、世界中で市民が直接の当事国はもちろん、関係国(軍事支援を含め経済制裁など事実上の介入を行っている国)や自国政府に対し、国際法と国際人道法の遵守に基づく対応を要求していくことだ。メディアには、「防衛」「軍事」の政府系専門家が溢れ、国際関係や国際法の専門家はほとんど登場することはないが、こんな「情報統制」下にあっても「国際法守れ」「住民の命守れ」の声を高めなければならない。

「戦争への答えはさらなる戦争ではなく平和である」
今すぐ、即時無条件停戦が必要だ。その上で、国際法と国際人道法遵守に基づく解決を追求しなければいけない。軍事支援や軍拡を拒否し、人道支援と平和的解決を求める世界の行動は確実に存在する。
 欧州議会議員クレア・デイリーさんは4月16日、欧州議会で軍拡勢力からのバッシングを恐れることなく敢然と次のような演説を行った。「制裁で軍事紛争が終わることも平和になることもないと歴史が教えている。制裁は人々を苦しめるのであって命を救うものでもない。ウクライナに武器を投入すればするほど戦争は長引き、さらにウクライナ人が死ぬからだ。戦争への答えはさらなる戦争ではなく平和である。砲身で平和はもたらされない。それができるのは外交であり、対話である。」
 ロシアでも弾圧を受けながらプーチン政権の軍事侵略に抗議の声を上げ、行動する人々が存在するように、ウクライナでも「平和解決」を追求して行動する人々が存在する。
 キエフ在住のウクライナ人平和活動家ユーリー・シェリアジェンコさんは「私たちに必要なのは、さらなる武器やさらなる制裁、ロシアや中国に対するさらなる憎悪による紛争の激化ではなく、もちろんその代わりに、包括的な和平交渉が必要なのです」と語っている。この声にこたえる国際的行動が求められている。

キューバ危機は、キューバからのソ連のミサイル撤去とトルコにある米国のミサイル撤去という双方の譲歩で核戦争が回避された。今、住民の命を救う勇気ある譲歩を当事国、関係国に要求しよう。

「むすぶ」目次 (2022年4・5月合併号)2022/04/26 13:14

■ 今月を視る / 外交と対話による即時無条件停戦を!
国際法、国際人道法の遵守に基づく平和的解決を!
■ 寄稿 / 核燃料サイクル政策の破たんの現実を直視しない懲りない面々
       サヨナラ原発福井ネットワーク 山崎隆敏        
■ Q&A <NO.126> / 自民、敵基地攻撃言い換え 反撃対象拡大の提言           
■ Music Corner / 海勢頭 豊さんの歌 『お母アの子守唄』  印西市 若谷政樹                     
■ 読者つうしん / 事務局メンバーとして臨んだ
         「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」発足集会  沖縄市 新垣仁美
■ おしらせ & 編集後記