今月を視る(「むすぶ」2014年11・12月号2015/01/10 10:16

普天間基地撤去、名護新基地建設阻止へ「扉は半分開いた!」
    沖縄の民意と闘いを全国に広げ、扉を全開させよう!

今回の知事選で沖縄の住民が「名護・辺野古新基地建設は許さない」意思をあらためて明確に示したが、今年に入って3度目のことである。一度目が1月の名護市長選。「海にも陸にも新基地はつくらせない」を公約に掲げた稲嶺進市長が大差で再選された。二度目は、9月の名護市議選。ここでも、新基地反対を明確にした市議が過半数を制し、稲嶺与党を揺るぎないものにした。

そして三度目となる今回の知事選。同時に行われた那覇市長選でも新基地反対の「オール沖縄」の候補者が、相手の自公候補にダブルスコアで勝利し、さらに県議補選では、名護と那覇で自民党の新基地容認候補を破って当選した。とりわけ、名護市区では、1月の市長選に立候補した自民党の元県議を打ち破っての勝利である。沖縄の人々の普天間基地撤去、名護新基地建設阻止への意思に揺るぎは全くない。

「建白書」での上京行動の過程で「もはや沖縄は後戻りしない」と明言した翁長新知事は、その言葉どおり当選後の記者会見で、新基地建設を止めるために「あらゆる知事権限を行使する」決意を明らかにした。

「埋め立て承認の取り消し、撤回の取り組みは。」との質問に対して、「埋め立て承認と振興のリンクを10万票差で吹っ飛ばした。日米両政府に赴き、沖縄の現状を訴えたい。民意が示されたことを受け両政府に変化が出るかも見極め、国連への要請も視野に入れる必要がある。名護市長とも相談しているが、知事権限の厳格な行使を検討している。知事承認に至った検証や今回の選挙結果を踏まえ、取り消し、
撤回についての考え方をしっかりまとめる。不退転の決意でしっかり対応したい」(琉球新報11月18日)と明快に述べた。さらに、現在問題になっている沖縄防衛局が県に申請している辺野古埋め立てに関する工法変更の審査に関しては「もっと詳しく厳密に審査し、名護市とも意見交換しながら知事の権限を行使したい」と厳しく審査する考えを示している。

圧倒的な民意を突きつけられた政府は、動揺を隠すかのように「(辺野古推進の)立場は全く変わらない。粛々と進める」(菅義偉官房長官)とうそぶき、18日には移設予定地に隣接する米軍キャンプ・シュワブに沖縄防衛局が仮設桟橋設置に向けた資材を搬入し、中断していた海上作業を19日に再開、近く事実上の埋め立てである仮設桟橋の設置を始めると公言している。政府の対応はもはや「駄々っ子」の様相である。「沖縄がどんなに抵抗しても無駄だ、と県民に刷り込みたいのだろう。世界史を見ると、植民地の住民に自分は無力だと思い込ませ、抵抗をあらかじめ排除しようとするのは宗主国の常套(じょうとう)手段。だが沖縄の抵抗は、国際標準に照らせば強い説得力を持つ。選挙直後に急いで無力感を刷り込もうとするのは、政府が沖縄の抵抗を恐れていることの表れだ。」(琉球新報 11月21日)との分析は適格だ。

「沖縄がどんなに抵抗しても無駄だ、と県民に刷り込みたい」と画策するほど無駄なことはない。すでに沖縄の人々の闘いによって「扉は半分開いた」(ヘリ基地反対協代表 安次富浩さん)のだ。扉を全開させるために、県外に住む私たちに課せられた責任と課題は大きい。翁長新知事は「去年オール沖縄で、建白書を持って東京に行ったら、『中国のスパイ。琉球は日本から出て行け!』と罵声を浴びた。ショックだったのは、周りの人が知らん顔して通り過ぎていったこと。」とインタビューに答えている。

この状況を変えなければ安倍政権を追い込むことはできない。沖縄県外に住む住民の最大の課題だ。沖縄の人々の闘いに学び、共感を全国に広げよう。住民無視、民主主義破壊の安倍政権への怒りを全国に広げよう。

「むすぶ」目次(2014年11・12月号)2015/01/10 10:19

■ 今月を視る/ 沖縄の民意と戦いを全国に広げ、扉を全開させよう!
■ ミニ解説/ FIT破綻の原因は原発再稼働優先のエネルギー政策                  
■ ミニ紀行/ 原発再稼働と戦争の記憶と~札前のミニ力から 藤田なぎ                      
■ BOOK CORNER/『自衛隊員が泣いている』 三宅勝久 著 豆多敏紀
■ 読者つうしん/ 『GAMA』~『MABUI』地域・学校上映のお願い 藤岡章泰
■ Data & Information & おしらせ

今月を視る(「むすぶ」2015年1月号)2015/01/26 08:51

集団的自衛権行使が柱の大軍拡に対決!
平和運動の広がりを全国につくりだそう!

政府の2015年度予算案の防衛費が4兆9800億円(14年度補正予算費で、与那国島の部隊拠点整備費や装備品の調達費として計上した2110億円含め実質5兆2000億円)と過去最高になることが明らかにされた。第二次安倍政権発足以来、3年連続の増加で、14年度当初予算から約1000億円増。安倍政権にとっては、かつての「1%枠」など「どこ吹く風」のやりたい放題の状況である。

増額の中味は、「離島防衛」と称する九州・沖縄・南西諸島への自衛隊配備、大増強である。すでに新たな中期防(2014年から5年間)で明確に位置づけられている「離島防衛作戦」、その軸となる陸自の「水陸機動団」(米海兵隊がモデル)編成(18年度までに新設予定)にむけた予算が具体化されている。「水陸機動団」は、現在、佐世保の相浦駐屯地にある陸自の西部方面普通科連隊(700人)を母体に3000人規模の大部隊として増強される。オスプレイ(15年度から17機導入予定)の一体運用も視野に入れた飛行部隊(佐賀空港への配備予定)には700人から800人が投入される。空自那覇基地には、F15戦闘機の飛行部隊が1個から2個に増強、機数も倍の40機となり、すでに14年春に発足している早期警戒機E2C部隊も併せて250人から450人程度の増強となる。沖縄本島以外では、与那国島に150人規模の沿岸監視部隊を配備、宮古島、石垣島、奄美大島にも各350人規模の監視部隊を配備する計画だという。ほぼ4000人もの自衛隊員が増強され、九州・沖縄・南西諸島は「最前線」とされる。

装備では、MV22オスプレイ5機(1機100億円)、水陸両用車30両、国産新型哨戒機「P1」20機、最新鋭ステルス戦闘機「F35」6機など米軍に劣らぬ装備が整えられることになる。さらに、海上自衛隊が2015年度予算で建造を計画しているイージス艦に共同交戦装備(「共同交戦能力」と呼ばれ、敵ミサイルをの位置情報を味方同士で共有し、即座に迎撃する先端システム)を搭載することも明らかにされた。米軍との共同運用が狙いであり、集団的自衛権行使のための装備であることは明らかである。もはや、兵も装備も臨戦態勢の軍国予算である。

他方、政府は名護辺野古新基地建設拒否の県民意志を明確にした沖縄に対しては、報復があからさまな予算措置を打ち出している。沖縄振興予算を14年度の3460億円から減額して3300億円台とするとの政府方針が固められたと報じられた。その一方で、名護辺野古新基地建設のための経費として、14年度の2倍に当たる1500億円を計上する方針という。おまけに、この新基地建設工事に関する政府調達では、知事選で翁長氏を支援した県内業者を排除すると言い出す始末である。翁長知事をはじめとした陳情のための上京団に対して山口沖縄・北方担当相以外、安倍首相はおろか閣僚の誰一人として会おうとしなかったことは、前代未聞の破廉恥行為である。翁長知事は、安倍内閣のこの前時代的で子どもじみた対応について、「県民のみなさんや国民のみなさんには、ありのままを見ていただいて判断してほしい」と冷静にコメントしたが、安倍政権の焦りと動揺をこの子どもじみた対応と姿勢の中に見出すことはだれにとってもさほど難しくはない。焦る安倍内閣は、今年に入ってからも辺野古現地で、執拗に「工事強行」パフォーマンスを繰り返すが、新基地建設問題を今年で終わりにする確固とした流れは存在している。この流れに全国から合流し、強めよう。名護辺野古新基地建設阻止は、安倍政権の大軍事化政策、とりわけ、「南西シフト」増強計画の屋台骨を突き崩し、軍拡予算を無効にすることができる。

沖縄では、2月にも1万人規模の県民大会が準備されている。「南西シフト」の最先端、与那国町でも陸上自衛隊沿岸監視部隊配備の賛否を問う住民投票が2月22日に実施されることが決まった。安倍内閣は、5月の国会で集団的自衛権行使のための関連法上程を目論んでいる。一つひとつの闘いを押し上げ、5月関連法上程を阻止する平和運動の広がりをつくりだそう。

「むすぶ」目次(2015年1月号)2015/01/26 08:54

■ 今月を視る/ 集団的自衛権行使が柱の大軍拡に対決!
平和運動の広がりを全国につくりだそう!
■ ミニ解説/ ジュゴン訴訟と辺野古新基地建設撤回の展望   SDCC 松島洋介                 
■ ミニ紀行/ 原発再稼働と戦争の記憶と~薩摩へのミニ旅行から・続  藤田なぎ
■ Book Corner/『沖縄ノート』 大江健三郎 著  大阪府・太子町 湯川 恭
■ 読者つうしん/ 多くの職員に苦痛と矛盾、当局への服従を強要する
「人事評価制度」は廃止を! 堺市 若宮八十英
■ お知らせ/ むすぶ会総会&講演学習会のあんない & おしらせ